習字と書道って違うもの?目指すものの違いと考え方
「習字」と「書道」は、一見するとまったく同じもののように思えます。「文字を書くことを学ぶ」という意味ではこの二つは共通しているのですが、「何を学ぶか」には違いがあるのです。
ここでは習字と書道の意味と、その違いについて解説していきます。
◆習字は、美しい文字を書くことを目的
学校の授業などでも取り入れられている「習字」は、「美しい文字を書くこと」を目的とするものです。バランスの取れた整った文字を書いたり、お手本のように文字を仕上げたりすることをいいます。そのため、毛筆を使ったものばかりではなく、鉛筆などを使ったものも「習字」と呼ばれます。
このような性質を持つ習字は、極めて実践的なものです。祝儀袋を書いたり年賀状を書いたりといった機会は大人になってからもありますが、習字をしっかり学んでいればこのようなときでもスムーズに文字を書けるようになるでしょう。
◆書道は、芸術品としての意味を持つ
対して書道は、「自分の思いを表現するためのもの」という性質を持ちます。つまり、文字を書いてはいるものの、分類的には「芸術品を作り上げること」「美術的な意味を持つもの」となるのです。
もちろん、自分の思いを表現しきるためには、基本的な運筆の技術を学ぶ必要はあります。しかし自分自身の個性を紙の上に表すことを目的とするため、習字のような「お手本」があるわけではありません。
このような違いを持つため、「ずっと『習字』をやっていたが、長じてから『書道』に触れることで、『表現する書道』に憧れた」という先生もいます。
◆目的に応じて学び方を変えていこう
しばしば、「習字は子どもが習うものであり、書道は習字の先にある」と言われることもあります。たしかに、すでに述べた通り、書道には基本的な運筆の技術が必要となります。
しかし、習字は書道に劣るものであると考えるのは間違いです。
「文字をきれいに書くこと」を第一の目的とするのであれば習字を学んだ方が良いですし、逆に「文字を通して自己表現をしたい」と考えるのであれば書道を学んだ方が良いということになります。どちらかが優れていてどちらかが劣っているという話ではなく、「何を学びたいか」によって選び分けていくことが重要です。
もっとも、現在の書道塾などでは、この二つを明確に分けているところはそれほど多くはないと思われます。そのため、基本的な書き方を筆の扱い方を学びながら、「より自分が目指したいのはどちらか?」を考えていくのも良いでしょう。